【2026年2月】メキシコ治安が緊急悪化|エル・メンチョ殺害で20州252件の道路封鎖【現地駐在員が解説】

どうも、メキシコ駐在員のフアニートです。
2026年2月22日(日)、メキシコ軍がハリスコ新世代カルテル(CJNG)の最高指導者「エル・メンチョ」ことネメシオ・オセゲラ・セルバンテスをハリスコ州タパルパで殺害しました。
米国政府が懸賞金1,500万ドル(約23億円)をかけて追っていた「世界で最も危険な麻薬王」の死は、メキシコ全土を混乱に陥れています。
20州で252件のナルコブロック(道路封鎖)が発生し、学校は休校、銀行は閉鎖、物流は停止——メキシコの社会機能が部分的に麻痺する事態となっています。
- エル・メンチョとは何者か——CJNGの基本情報
- 何が起きたのか——作戦の詳細と時系列
- カルテルの報復——20州252件の被害の全容
- アグアスカリエンテスの状況——現地駐在員による報告
- 外務省のスポット情報と日本大使館の対応
- 日本人駐在員・旅行者が今すぐ取るべき行動
- 今後の見通しと注意すべきポイント
※この記事は2026年2月23日(月)時点の情報です。状況が変わり次第、随時更新していきます。
エル・メンチョとは何者か——CJNG(ハリスコ新世代カルテル)の基本情報

まず、今回の事態の中心にいる人物と組織について説明します。
エル・メンチョの経歴
ネメシオ・オセゲラ・セルバンテス(通称:エル・メンチョ)は、1966年にハリスコ州アギリヤの貧しいアボカド農家に生まれました。
10代でアメリカ・カリフォルニアに不法入国し、麻薬密売に手を染めて逮捕・収監を経験。メキシコに強制送還された後、一時的にハリスコ州の地方警察官となりましたが退職し、シナロア・カルテル傘下の「ミレニオ・カルテル」に加入しています。
2010年にミレニオ・カルテルの幹部が次々と逮捕・殺害されると組織は分裂。その中からエル・メンチョが2009〜2010年頃にCJNGを設立しました。
CJNG(ハリスコ新世代カルテル)とは
CJNGはわずか15年ほどでメキシコ最大級の犯罪組織に成長しました。
- 設立:2009〜2010年頃
- 拠点:ハリスコ州(グアダラハラ、プエルトバジャルタなど)
- 勢力範囲:メキシコ国内10州以上、米国50州すべてに流通ネットワーク
- 主な取扱い:フェンタニル、メタンフェタミン、コカインの対米密輸
- 武装力:ドローンからの爆発物投下、装甲車両、地雷、ロケットランチャー
- 米国の指定:2025年2月にトランプ政権が「外国テロ組織」に指定
- 懸賞金:米国政府が1,500万ドル(約23億円)、メキシコ政府が3億ペソ(約27億円)
米麻薬取締局(DEA)は、CJNGをエル・チャポが率いたシナロア・カルテルと並ぶメキシコ最強の犯罪組織と認定しています。
2020年には、メキシコシティの中心部で当時の首都警察トップに対してグレネードと高性能ライフルによる暗殺未遂を実行するなど、国家権力に真っ向から挑む姿勢で知られていました。
何が起きたのか——2026年2月22日の作戦の詳細
🚨【速報】メキシコ・ハリスコ州全域に最高警戒「コード・レッド」発令中
CJNG最高指導者エル・メンチョの死亡報道を受け、カルテルが大規模報復を開始。
・21箇所以上で車両放火・道路封鎖
・グアダラハラ空港付近で武装集団
・プエルトバジャルタでも車両10台以上炎上
・航空便も欠航相次ぐ… https://t.co/DdQPCdIvpd— フアニート🇲🇽メキシコ駐在ラボ (@Juanito_agsmx) February 22, 2026
メキシコ国防省の公式発表に基づく事実
メキシコ国防省(SEDENA)の発表によると、以下の事実が確認されています。
- 日時:2026年2月22日(日)早朝
- 場所:ハリスコ州タパルパ(グアダラハラの南約130km)
- 実施部隊:陸軍特殊部隊、国家情報センター(CNI)、検察庁、空軍、国家警備隊
- 作戦目的:エル・メンチョの逮捕(国防省発表)
- 米国の関与:「二国間協力の枠組みで米国当局から補完的な情報提供」があったと国防省が明言
作戦中にCJNG側から激しい銃撃を受け、銃撃戦が発生しました。
被害状況
CJNG側:
- 4名が現場で死亡
- エル・メンチョを含む3名が重傷→ヘリコプターでメキシコシティに搬送中に死亡
- 2名が逮捕
メキシコ軍側:
- 特殊部隊員3名が負傷(メキシコシティの医療施設に搬送)
押収物:
- 航空機撃墜可能なロケットランチャー
- 装甲車両
- 各種火器
米国の反応
ホワイトハウス報道官カロリーン・レビットは、米国がメキシコ政府に対して情報支援を提供したことを確認しました。
ランドー米国務副長官はエル・メンチョの死について「米国とメキシコ、中南米全体にとって大きな進展」と評価しています。
カルテルの報復—24時間で起きたことの全容ー
2026年ワールドカップ開催地のグアダラハラは空港がカオスすぎる。麻薬組織もメキシコ軍隊に負けない戦闘力を持ってるもんな。戦争と変わらへん…一刻も早く治安の回復を… https://t.co/ytqYP5TRMQ
— フアニート🇲🇽メキシコ駐在ラボ (@Juanito_agsmx) February 22, 2026
エル・メンチョの死亡が伝わると、CJNGは即座に大規模な報復行動を開始しました。
「ナルコブロック」とは?
被害規模——公式発表に基づく数字
メキシコ治安閣議(Gabinete de Seguridad)の2月22日20時時点の発表:
- ナルコブロック発生件数:252件(20州)
- ハリスコ州が65件で最多
- 2026年2月22日20時時点で約90%が解除、23件が未解除で残存
- 25名がブロック関連で逮捕(ハリスコ州)
- OXXO(メキシコ最大手コンビニ):69店舗が焼き討ち(ハリスコ州)
- Banco del Bienestar(政府系銀行):20支店が放火(ハリスコ州)
- コストコ:プエルトバジャルタ店が全焼
- その他、ガソリンスタンド・薬局への放火も多数報告
影響を受けた州(確認されているもの)
ハリスコ、ミチョアカン、グアナファト、コリマ、ナヤリト、タマウリパス、アグアスカリエンテス、サカテカス、プエブラ、バハ・カリフォルニア(ティファナ、テカテ、エンセナーダ)、キンタナ・ロー(カンクン、コスメル、トゥルム、プラヤ・デル・カルメン)、ゲレロ、ヌエボ・レオン(モンテレイ)、オアハカ、チアパス、モレロス、ベラクルス、ソノラ、シナロア、メヒコ州
主要都市の状況
グアダラハラ(ハリスコ州都・メキシコ第2の都市)
主要道路・高速道路が封鎖され、空港でパニックが発生。日曜夜には「ゴーストタウン」状態になったと複数のメディアが報じています。
プエルトバジャルタ(観光地)
10台以上の車両が炎上し、黒煙がビーチリゾートの上空を覆いました。タクシー、Uber含むすべてのライドシェアが運行停止。国際線の大半と多くの国内線が欠航し、ホテルは宿泊客に屋内退避を指示しました。
AI生成のフェイク画像が大量拡散中
2月23日(月)の閉鎖状況まとめ

休校が確定した州
- ハリスコ(全レベル・公立私立とも)
- ナヤリト(全レベル)
- ミチョアカン
- コリマ
- メヒコ州(SEPが発表)
- オアハカ(イストモ・デ・テワンテペク地域)
- ベラクルス
- イダルゴ(トゥーラ地域)
- ケレタロ
銀行の閉鎖
- BBVA:ハリスコ州全店
- Santander:ハリスコ、コリマ、グアナファト・ミチョアカン・ナヤリトの一部
- Scotiabank:ハリスコ、コリマ、ミチョアカン、ナヤリト(グアナファトは11時開店)
- HSBC:ハリスコ全店+ナヤリト・ミチョアカン・グアナファト・コリマ・プエブラ・トラスカラの一部
その他の閉鎖・停止
- 連邦裁判所:司法行政機関(OAJ)が月曜を非営業日に指定
- INE(国家選挙管理機構):ハリスコ・ナヤリトの全モジュール閉鎖
- CANACAR(全国トラック輸送業者連合):全ドライバーに「退避するか営業所に戻れ」と全面運行停止を指示。危険州としてハリスコ、グアナファト、ミチョアカン、アグアスカリエンテス、サカテカスを名指し
- Primera Plus(長距離バス大手):一部路線の欠航
- CAPUFE(有料道路管理機構):複数の料金所を閉鎖
アグアスカリエンテスの状況——現地駐在員の報告

2026年2月22日20時に、以下の道路封鎖が確認されました。
封鎖された主要道路
①連邦道路45号線・北方向(サカテカス方面)——サカテカス方面への幹線道路でも封鎖が報告。
②連邦道路45号線・南方向(ハリスコ方面)——エンカルナシオン・デ・ディアス(ハリスコ州)の料金所付近でトレーラーが奪われ炎上。武装集団の目撃情報あり。同じく45号線のサンタ・バルバラ区間(ハリスコ州境付近)でも別のトレーラーが強奪・炎上。
③連邦道路70号線・東方向
オフエロス(ハリスコ州)方面で、大手乳業メーカーのトラックが武装集団に停められ、運転手を降ろした上で放火。
④州道・南方向
ロス・カーニョス集落付近の州道71号線で車両が炎上。ビジャ・イダルゴ(ハリスコ州)方面への道路が封鎖。
⑤ヘスス・マリア(州内近郊都市)
パルケ・インダストリアル・チチメコのBanco del Bienestar支店が放火。
州政府は「Blindaje Aguascalientes(シールド・アグアスカリエンテス)」治安計画を発動。軍・国家警備隊・州警察の合同パトロールを実施しています。
外務省のスポット情報と日本大使館の対応

外務省のスポット情報の要点は以下のとおりです。
- 2月22日、メキシコ国防省がハリスコ州でCJNGに対する大規模な掃討作戦を実施し、リーダーのエル・メンチョが死亡
- ハリスコ州だけでなくグアナファト州やアグアスカリエンテス州を含む広範な地域で衝突・道路封鎖・放火等が多数発生
- ハリスコ州及びその近隣州に在留・滞在中の方は不要不急の外出や会合を避ける等の対策を
- その他の州に在留・滞在中の方も最新の治安情報を入手するよう注意
緊急連絡先
在レオン日本国総領事館
住所:Adolfo Lopez Mateos No.1717 Piso 9, Col. Los Gavilanes, Leon, Guanajuato
電話:+52 (477) 343-4800
メール:ryojibu@lo.mofa.go.jp
在メキシコ日本国大使館
住所:Paseo de la Reforma No. 243, Torre Mapfre Piso 9, Col. Cuauhtemoc, C.P. 06500 Mexico, Ciudad de Mexico
外務省領事局 海外邦人緊急事態課(日本国内からの連絡用)
各国政府の対応

米国
米国大使館は当初5州への「シェルター・イン・プレイス(屋内退避)」命令を、その後10州以上に拡大しました。ティファナ領事館、ゲレロ・ミチョアカン・キンタナローでは全スタッフに退避命令が出されています。
カナダ
南西メキシコに渡航警告を発出。ロープロファイル(目立たない行動)を維持するよう呼びかけ。
英国
外務省(FCDO)がメキシコへの渡航情報を更新。自宅に留まり不要不急の移動を避けるよう指示。
スペイン
大使館およびグアダラハラ・メキシコシティ・モンテレイの総領事館が、影響を受けたスペイン国民と連絡を取っていると発表。
日本人駐在員・旅行者が今すぐ取るべき行動
今すぐやるべきこと
- 高速道路・幹線道路には出ない——封鎖が完全に解除されたことの公式発表があるまで
- 不要不急の外出は控える——特にハリスコ州とその近隣州
- SNSの映像はすべて疑う——AI生成フェイクが大量に出回っている。公式チャンネルで確認
- 在レオン総領事館の連絡先を携帯に登録——+52 (477) 343-4800
- たびレジに登録する——外務省の安全情報をメールで受信できる
- 職場への出勤は慎重に判断——CANACAR(全国トラック連合)がアグアスカリエンテスを名指しで危険州に指定していることを考慮
公式情報の確認先
- 外務省 海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
- 在メキシコ日本国大使館:https://www.mx.emb-japan.go.jp/
- ハリスコ州政府(X):@GobiernoJalisco
- メキシコ治安閣議(X):@GabSeguridadMX
- 米国大使館(X):@USEmbassyMEX
今後の見通し——最大の懸念は「後継者不在」
「キングピン戦略」の代償
治安専門家ダビッド・サウセドはCNNに対し、「これは逮捕作戦ではなく殲滅作戦だったように見える。犯罪の世界では、こうした行為は見過ごされない」と指摘しています。
CJNGには明確な後継者がいません。エル・メンチョの義兄弟アバガエル・ゴンサレス・バレンシアは米国で麻薬密売容疑で起訴中、義理の息子「エル・グアチョ」は2025年12月に米国で11年の実刑判決を受けています。
シェインバウム大統領自身が、歴代政権の「キングピン戦略」(組織のトップを排除する戦略)を批判してきた立場でしたが、トランプ政権からの圧力の中で今回の作戦に踏み切りました。
今後の注目ポイント
- 今週:道路封鎖の完全解除時期、プエルトバジャルタの航空便正常化、各州の学校・銀行再開
- 今後数週間:CJNG内部の後継者争い、対立するシナロア・カルテルなど他組織の動き
- 中長期:2026年6月W杯開催への影響、各国の渡航勧告の変化
日本メディアの報道状況
今回の事件は日本の主要メディアでも大きく報じられています。
- 日本経済新聞——「メキシコ最凶の麻薬王『メンチョ』、特殊部隊が殺害」(メキシコシティ特派員記事)
- 時事通信——「メキシコで麻薬カルテル首領死亡 軍が拘束作戦、米も情報提供」
- 毎日新聞——「メキシコ麻薬王が軍事作戦で死亡 米国も23億円の懸賞金を提示」
- CNN.co.jp——「軍の作戦で死亡 全土で暴動多発」(最も詳しい報道)
- AFP——「メキシコ軍が麻薬組織のリーダーを殺害、国内各地で報復行為も」
- TBS NEWS DIG——W杯を前にした米国からの圧力に言及
- ロイター日本語版——CJNGがシナロア・カルテルと肩を並べる存在に成長した経緯を解説
ただし、20州252件のナルコブロック、銀行・学校の大規模閉鎖、物流の全面停止といった「メキシコの日常が止まった」規模感は、日本の報道ではほとんど伝わっていません。
まとめ
- 2026年2月22日、メキシコ軍が米国の情報支援を受けてCJNG最高指導者エル・メンチョを殺害
- カルテルの報復で20州252件のナルコブロックが発生し、全国的な混乱に
- ハリスコ、ナヤリト、ミチョアカン等で学校休校・銀行閉鎖・物流停止
- アグアスカリエンテスでも全方位の幹線道路が封鎖される事態に
- 外務省がスポット情報を発出し、アグアスカリエンテスを名指しで言及
- SNSにはAI生成フェイク画像が大量拡散中。情報は公式チャンネルで確認を
- 今後数日〜数週間は後継者争いによる暴力激化の可能性あり。警戒を継続すべき
Xアカウント:@Juanito_agsmx
※この記事の情報は2026年2月23日(月)時点のものです。状況は刻一刻と変化しています。最新の情報は外務省海外安全ホームページおよび公式チャンネルで必ず確認してください。
情報ソース
この記事は以下の情報源に基づいて作成しています。
- メキシコ国防省(SEDENA)公式発表
- メキシコ治安閣議(Gabinete de Seguridad)公式発表
- ハリスコ州政府公式発表
- 外務省 海外安全ホームページ スポット情報
- 米国大使館メキシコ 安全情報
- CANACAR(全国自動車運送業者連盟)公式声明
- 日本経済新聞、時事通信、毎日新聞、CNN.co.jp、AFP、TBS NEWS DIG
- Mexico News Daily、El Financiero、Infobae、TV Azteca
- Wikipedia「2026 Jalisco operation」












